人間の最大の罪は不機嫌である(ゲーテ)

 

ある話から

  「無自覚なまま迷惑をかけている」

ということについて考えた。

 

子供の頃から、

  人に迷惑をかけてはいけない

と両親に言われて育った。

いつの話だという感じだが、三つ子の魂百までというし。

 

人に迷惑をかけているつもりはなかったが、

  「無自覚な迷惑」

と言われて、真っ先に浮かんだのが

  不機嫌

だった。

それも夫に対しての。

 

仕事から帰って、着替えもせずに急いで晩ごはんの支度をしているとき、ソファに寝転がってテレビを見ている夫にイラッ

 

月末に家計簿を見て頭を抱えているとき、「たまには焼肉に行きたい」とのたまう夫にイラッ

 

余裕がないときには殺意さえ抱きかねない。

 

 

そんなことが、ホコリのように積み重なるどころか、警報級の大雪のように積もっていく。

そして、溶けることなく万年雪となり、夫に対する許容量は減る一方。

いつしかウルトラマンのカラータイマーのように点滅を初め、不機嫌さMAXになっているのだ。

 

いかんいかん

自分が夫に対して不機嫌になることは当然だ、仕方ないと自分を正当化していた。

私は最大の罪を犯しているではないか。

 

帰宅前にそのことに思い至った。

今から私は帰って、バタバタと晩ごはんの支度をする。きっと不機嫌な顔をしているだろう。

それなら、たまには惣菜を買って帰ろうか。

普段なら、スーパーに寄る時間も、惣菜を買う出費も惜しんでいたが、たまにはいいか。

 

そして、夫の大好きなサクサクした揚げ物(サクサクした衣がついていれば、中身はピーマンでも玉ねぎでも許される魔法の食べ物)を買って帰った。

 

  うわぁ、コロッケ?こっちはカツ?

  やったぁ!

 

まるで中学生のように喜ぶアラ還男子

こんなことでご機嫌になるちょろい奴(普段の食事が推察される)

むしろ、こんなことでご機嫌になれる単純さがうらやましい。

 

喜ぶ夫を見て、

  私も、たまには楽してもいいのかな

と思う妻。

 

きっとこれまで、勝手に不機嫌になって、たくさん迷惑をかけてきたんだろうな。

ちょっと反省する。

 

不機嫌でいることが罪ならば、

ご機嫌でいることは功?

 

  誰か私の機嫌をとって!

  私をご機嫌にしてよ!

なんて、アラ還女子には許されまい。

自分の機嫌は自分でとらねば。

 

まあ、お風呂上がりのアイス1本でご機嫌になる私も、案外ちょろい奴かもしれない。